15分でわかるサルトル #1

神田うのを先輩として慕う、一人の女性タレントがいたとする。


仮にA子さんとしておこう。神田うのの方もまるで妹のように可愛がっているのだが、ある日、そのA子さんに悩みを打ち明けられる。B君につきまとわれて困っているのだ、と。


B君というのは同じ芸能界の人間であってもいいし、青年実業家でもプロサーファー(なんだ、そりゃ?)でもいい。実は神田うのにしたって、別に神田うのでなくても構わないのだが、いかにも余計な口出しをしそうな感じなので、やはり、ここは神田うのでなくてはならない。うのは当然のことながら、次のように忠告する。


「あなた、今がいちばん大切な時なんだから、ねえ? わかるでしょ? あんな、B君みたいないい加減な男とつきあっちゃ、絶対ダメ!!」


こうなると話はどちらの方へ進展するのか。皆様は、どうお考えであろうか。十中八九、A子さんはB君とつきあい始めてしまうような、そんな気が私にはするのである。別に二人がつきあわなくても大した支障はないのだが、やはり、ここはデキちゃった結婚にまで発展することにする。結婚式当日、うのは居並ぶ報道陣に向けてこう話す。


「B君となんか、つきあっちゃダメっていったんですよ。でも、こうなちゃったら、しょうがないですよね。幸せになってくださぁ~い」


さて、いまから解説するは、実存主義と呼ばれるサルトルの哲学である。あとで再び述べるが、まずは実存 existence について簡単に触れておこう。それは本質と対立する概念であり、サルトルにおいては、とくに人間を指している。語源はラテン語の exsistere であり、これは外に(ex)立つ(sistere)ことを意味している。

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